【志望動機例も掲載】決算データに基づく就活・転職に向けたコーセー株式会社の企業研究ノート

企業研究

当サイトにおける資生堂株式会社の評価は20.5/25点。化粧品業界の中でも評価点が高い優秀な就職先候補です。

  • 年収は国内平均440万円の1.8倍
  • アジアでの事業成長が期待できる
  • 売上高は伸びていたがコロナの影響が大きい
  • 平均勤続年数が化粧品業界としては異例なほど長い
  • 残業時間は少ないが、有給取得率は高くない

当サイトでは決算データをもとに”客観的”に企業を評価しています。一方で、企業の内情や口コミといった主観的情報も就活では重要です。OB訪問アプリを活用して賢く就活を進めましょう!

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年収などの基礎データ

まず基本となるデータを掲載します。同業他社である化粧品企業と比較して、年収の高さや勤続年数の長さが目を引きます。

特に、化学業界全体と比較して化粧品を扱っている企業の勤続年数は極端に短いのですが、コーセーは平均水準以上の勤続年数であるため、従業員満足度の高い企業であると推測できます。

企業名コーセー
代表者名小林 一俊
単独従業員数775
連結従業員数8767
上場区分東証1部
本社東京
拠点狭山、群馬、入曽、研究所:東京
平均年収818.8万
平均年齢41.7歳
平均勤続年数16.8年
有給休暇の平均取得率64%
月平均所定外労働時間3.7時間
主業種/サブ業種化学/化粧品

事業内容と主力製品について

コーセー株式会社HPより

コーセー株式会社はもちろん化粧品の製造・販売を中心事業とした企業です。セグメントは化粧品事業コスメタリー事業に分けられていますがどちらも化粧品に関する事業です。ちなみに、コスメタリーはcosmetics (化粧品)とtoiletry (日用品)を掛け合わせた造語です。

コーセーの公式HPのブランド相関図がわかりやすかったので以下に引用させていただきます。高価格帯が化粧品事業リーズナブルな価格帯がコスメタリー事業と区別されています。

コーセー株式会社HPより

化粧品事業

コーセー株式会社では、化粧品の中でも高付加価値のハイプレステージ領域プレステージ領域をまとめて化粧品事業としています。

ハイプレステージ領域

ハイプレステージのストラテジー

The Highest Levels of Quality and Service
~最高のクオリティを、最高のサービスで~

コーセーの製品群の中でも最も高付加価値な製品がハイプレステージです。百貨店や専門店での展開が主流であり、店頭でのカウンセリングも魅力の一つです。

主要なブランドとしては『雪肌精みやび』『INFINITY』『JILL STUART』などが挙げられます。他にも、中国では『DECORTE』の売上が大きく伸びており全社業績にポジティブな影響を与えているようです。

ミルボンと共同で『iMPREA』を展開していますが、同じ化粧品企業でもターゲット層の違うミルボンとの協業はお互いにメリットの多い協業と期待できます。

ちなみに、ミルボンは美容院などプロ相手へのビジネスが中心であり、コーセーは一般人相手のビジネスが中心です。

プレステージ領域

プレステージのストラテジー

High-Value-Added Cosmetics for a Wider Customer Segment
~よる多くの方に、付加価値の高い送品を~

ハイプレステージとは異なり、量販店やドラックストア、ECなどで販売展開している付加価値製品がプレステージのブランド群です。

『米肌』『アスタリュクス』『ONE BY KOSE』『ESPRIQUE』など耳なじみのあるブランドを多数抱えています。

利益率とマーケティングコストのバランスが良いのがプレステージの製品群と推測できます。

コスメタリー事業

コスメタリーのストラテジー

One Step Above the Rest
~いつもより、少し上質な日常を~

リーズナブルな価格帯の化粧品とシャンプーなどのトイレタリー(日用品)を取り扱うのが本事業です。

低利益率のため事業としての重要性も低く思えますが、コーセーの名前を目にする機会が1番多いのは本事業を通してかと思います。

単なる低利益事業と捉えるより、マーケティング戦略を担う側面があると考えてもよさそうです。

当事業では『FASIO』『NAIL HOLIC』が主要ブランドです。特に、NAIL HOLICはコーセー社長の肝いり事業と言われています。

経営理念について

コーセー株式会社HPより

コーセー株式会社HPより

企業メッセージ

美しい知恵 人へ、地球へ。

存在理念

英知と感性を融合し、独自の美しい価値と文化を創造する。

経営理念

コーセーを愛し支える人達のために

上図にあるように、経営理念の上位に存在理念があり、存在理念の上位に企業メッセージがあります。企業メッセージが他企業の経営理念に匹敵する事項です。

化粧品企業は『美』に関する理念を掲げている場合が多いですが、『地球』というワードが含まれているのは現代の環境保全のトレンドに合致していて好印象です。

売上高および営業利益の解析

色々な種類の利益(経常利益、純利益etc)がありますが、企業が本業で稼ぎだした利益は営業利益として表現されます。そして、営業利益の源泉となるのが売上高です。

売上高と営業利益を分析することで会社の成長性や安定性を評価しましょう。

連結売上高・営業利益の解析

コーセー株式会社の過去10年の売上高と営業利益をグラフ化したものをご覧ください。

『なんで10年も?』と思った方へ

コーセーの平均勤続年数が16.8年(入社したら平均17年はお世話になる)であることを考慮すると、10年分の分析が決して多くはないことがわかると思います。詳細はこちらへ!

売上高は2011年から2019年まで右肩上がりで伸びており、コーセーの強い成長性を感じます。営業利益率も同様に伸びているので質の高い成長と言えるでしょう。

一方で、2020年業績はコロナ禍の影響を色濃く受け、売上高も営業利益率も低下しています。

この売上高の伸びとコロナ禍による失速は、資生堂の業績推移と非常に似通っており、高価格帯の化粧品事業が市況の影響を受けやすいことがわかります。

ただ資生堂と比較して、コーセーの利益率の低下は小さく、不況に対する耐性(=業績の安定性)に優れていることがわかります。

セグメント別売上高の解析

分析のコツ

セグメント別の売上高の成長に着目することで、企業がどの事業に力をいれようとしているのか、世の中が企業に何を求めているのかわかるのでこの分析手法はおすすめです。

セグメント別業績をみるとコーセーの業績は化粧品事業によって支えられることがわかります。

コスメタリー事業より化粧品事業の方が売上高が大きいのは予想できますが、営業利益率もコスメタリー事業(2017年:8.5%、2021年:-0.1%)と比べて化粧品事業( 2017年:18.6%、2021年:8.5% )が優れています。

不況下でも8%の営業利益率を達成した化粧品事業は優秀ですが、赤字に転落してしまったコスメタリー事業は事業構造の改善が必要と言えるでしょう。

化粧品事業以外にも業績を牽引する事業を立ち上げられれば面白いですが、今後も化粧品事業一本で邁進していくと推測されます。

  • コスメタリー事業は貢献度が低く、化粧品事業が主力である
  • B to Cの化粧品業としては安定性に優れているが次の柱となる事業も欲しい

研究開発費の推移

上図ではコーセーの研究開発費の推移を示しました。ここ5年間では右肩上がりに研究開発費が伸びていることがわかります。とはいえ、他の化学系企業と比べると、研究開発費売上高比率はかなり低めとなっています。

ちなみに、コーセーの研究活動は国内二拠点を中心におこなわれています。

  • コーセー製品開発研究所:製品開発研究、海外市場研究、製品管理、研究管理、事業戦略、サステナビリティ研究
  • コーセー先端技術研究所:先端技術研究、基盤技術研究、品質保証研究、研究戦略

理系的ないわゆる研究はコーセー先端技術研究所で行われていると推測できます。

循環型社会構築への取り組み

分析のコツ

サステナビリティやカーボンニュートラルといったテーマはおそらく今後20年以上にわたって化学業界で最優先とされる事象になります。
企業がしっかりとこれらのテーマと向き合っているかは確実に確認しましょう。

コーセーが1991年より掲げる企業メッセージに『 美しい知恵 人へ、地球へ。 』とあるように、地球環境に配慮した企業活動を行っています。

事業に係る環境負荷低減だけでなく、事業外の環境課題の解決に取り組んでいるのは非常に好印象です。『企業は社会の公器である』という松下幸之助の言葉がありますが、かの名言にふさわしい行いだと思います。

コーセーは真の意味で環境保全に真摯に取り組む企業といえるでしょう。

事業活動における環境負荷低減の施策も具体的な目標や方策が示されていて環境問題に取り組む強い意識を感じます。

注目すべきプレスリリース3選(2021/01/01~2021/08/31)

分析のコツ

企業のだすプレスリリースは世間に対するポジティブなアピールです。つまり、企業として世間に褒めて欲しい、注目して欲しいところ。
プレスリリースをチェックして企業の動向を把握しましょう。

コーセー株式会社の注目すべきプレスリリースは、

  1. 雪肌精「SAVE the BLUE」プロジェクト (2021/05/27)
  2. 『米肌』から、ブランド初となるインナーケアアイテムを発売 (2021/06/25)
  3. エチオピアのバラ農園で働く女性の生活環境改善を目指して (2021/07/01)

上記のサステナビリティの項目でも触れましたが、1は売上の一部を環境保全活動に寄附するという取り組みです。具体的には、サンゴ育成活動などに貢献しています。事業活動とは直接関係のない環境活動を行う姿勢は立派です。

2は化粧品以外の事業について扱ったプレスリリースです。インナーケアアイテム(美容食品)は化粧品と違って、不況下においても需要が減りにくいと予想されます。化粧品とのシナジーも高く、利益率も見込めるため伸ばしてほしい事業です。

SDGsは環境保全だけでなく、ジェンダー平等なども目標に掲げています。3はそのジェンダー平等に貢献できるプロジェクトのリリースです。女性と密にかかわる化粧品企業がジェンダー平等に貢献する姿勢は素敵ですね。

競合他社は?

化学業界における分類(詳細は別記事参照)で化粧品業は最終製品群に振り分けられます。

化粧品業における大手競合としてはポーラ、資生堂、ノエビアなどが挙げられます。

他にも、ミルボンはプロフェッショナル事業で協業しています。また、健康食品で有名なファンケルも化粧品事業を展開しています。

コーセーの強み、弱みは?

就職・転職活動において企業の特徴、特に強みと弱みをつかむのは非常に重要です。記事の内容を踏まえて、強みと弱みをおさらいしてみましょう。

コーセーの強み

コーセーの強みを議論するためには最も事業の類似性が高い資生堂との比較が重要になります。

コーセーの強みはブランドイメージの高さですが、単純にブランド力だけでいえば資生堂の方が優れているでしょう。これはコーセーに対して資生堂のマーケティングコストが高いことも原因です。

逆に言えば、マーケティングコストを含む販管費を抑えられるコーセーの魅力は営業利益率の高さです。売上では資生堂に及びませんが、利益だけを比較するとコーセーの方が高い年があります。

営業利益の高さは企業の保有するキャッシュの多さとも比例します。キャッシュが多いと新規事業の開発や既存事業の展開に投資することができるため、企業の成長性に期待することができます。

また、販管費を抑えながら売上高を伸ばせているのは製品品質の高さが市場に認知されているからと推測できます。

コーセーの強み

ブランドイメージ、環境保全への積極的な取り組み、営業利益率の安定性

コーセーの弱み

コーセーの一番の弱みは海外売上高比率の低さです。2021年業績を比較すると、資生堂の国内売上高比率が36%であるのに対して、コーセーは60%と倍近くあります。

海外比率が高い方がいいと一概には言えませんが、化粧品を使用する年齢層の人口動態を考慮すると、人口が減少傾向にある日本からアジアを中心とした海外に進出するのは避けられないでしょう。

しかし、2017年3月決算より毎年3~5%ほど国内比率が下がり、海外比率が上がっているため、この成長力・展開力はむしろ強みと言えます。

また、コロナ禍のような不況の場合、化粧品の需要が下がるため、業績がかなり落ちます。これは化粧品事業しか持たないコーセーの弱みといえます。

最後に、弱みというほどではありませんが、これまで対面販売を中心としてきたコーセーではE-コマースへの移行が遅くなることがアフターコロナでの懸念点となりそうです。この点は中期経営計画でも触れられています。

コーセーの弱み

海外売上高比率の低さ、化粧品一本足の事業構造、対面販売中心の事業展開

管理人Jagaが志望動機を書くのであれば、、、

本項目はあくまでも参考例です。志望動機はご自身の言葉で書くようにしましょう。  

例 グローバル化を目指す企業

私の夢は『キレイ』の実現により世界中の人々に活力を与えることであり、貴社であれば事業に貢献しつつ自身の目標も達成できると考えて入社を希望しました。現代社会において『キレイ』の定義や価値観は多様化していますが、製品を通して消費者に活力を与える鍵、各『キレイ』に対する共通の訴求点はブランドに対する信頼感であり、貴社の信頼感は世界で通用するものと存じます。更なるグローバル化を目指す貴社で業務に携われば貴社事業の発展に貢献し、貴社の『キレイ』を世界に届けることのできる人材へと成長できると存じます。(247字)

資生堂への志望動機を書く上では以下のような言葉がキーワードになりそうです。

企業メッセージ『美しい知恵 人へ、地球へ。』、存在理念『英知と感性を融合し、独自の美しい価値と文化を創造する。』ブランド力、ブランドイメージ、サステナビリティ、グローバル化、

これらのキーワードとあなたの思い、経験を組み合わせていけば魅力的な志望動機が書けるかと思います。

まとめ

以上にまとめましたが、コーセー株式会社の魅力や注目すべき動向は伝わりましたでしょうか?

コーセーは営業利益率が高く、特に海外での成長が今後も期待できる企業です。また、ECなど新たな分野へと挑戦する時期にあるように思えます。

海外で活躍したい、新規事業に貢献したいというチャレンジ精神の旺盛な方におすすめの企業ですね。

就職・転職活動で競合(ほかの就活生・転職希望者)に差をつけるには効率的、素早く企業の情報を収集することが重要になります。

今回、当記事で紹介した内容に加えて就活サイトで情報を集め、インターンやOB・OG訪問を積極的に行いましょう。

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当記事が皆さんの就活・転職活動に有意義なものとなれば幸いです。

この記事を書いた人

博士号を取得後、アカデミックから逃げるように総合化学に就職した研究者。会社では新規事業の開発に従事している。入社後、社会勉強のために証券アナリスト資格を取得し、分析力をいかすため当サイト『化学業界解剖計画』の運営を開始した。

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