当サイトにおける東レ株式会社の評価は19.5/25点。大手らしくワークライフバランスのとりやすい企業です。
- 年収は国内平均440万円の1.5倍
- 機能化成品と繊維の二本柱で安定した収益をあげる
- 炭素繊維を活用したビジネスでの成長が期待される
- 平均勤続年数は業界平均と同程度
- 有給取得日数は十分であり、残業もさほど多くない
当サイトでは決算データをもとに”客観的”に企業を評価しています。一方で、企業の内情や口コミといった主観的情報も就活では重要です。OB訪問アプリを活用して賢く就活を進めましょう!
年収などの基礎データ
まず基本となるデータを掲載します。特徴的な値はありませんが、年収、有給取得日数など高水準な企業です。
企業名 | 東レ |
代表者名 | 日覺 昭廣 |
単独従業員数 | 7420 |
連結従業員数 | 46267 |
上場区分 | 東証1部 |
本社 | 東京 |
拠点 | 大阪、滋賀、 愛媛、名古屋 etc |
平均年収 | 671.9万円 |
平均年齢 | 39.0歳 |
平均勤続年数 | 15.9年 |
有給休暇の平均取得日数 | 18.6日 |
月平均所定外労働時間 | 19.4時間 |
主業種/サブ業種 | 化学/繊維 |
事業内容と主力製品について
東レ株式会社の事業内容は繊維事業、機能化成品事業、環境・エンジニアリング事業、炭素繊維複合材料事業、ライフサイエンス事業の5分野に大別されます。
繊維事業
合成繊維大手である東レの主力事業はもちろん繊維事業です。
ナイロン、ポリエステル、アクリルの三大合成繊維をすべて取り扱っており、衣料用途から産業用途まで幅広いポートフォリオをもっているのが強みです。
ユニクロとパートナーシップを結んでおり、ヒートテックなどの繊維を提供している皆さんともなじみの深い事業と言えます。
機能化成品事業
繊維事業が合成繊維を生地として取り扱う事業とすれば、機能化成品事業は合成繊維を様々な製品の中間素材として取り扱う事業といえます。
その中でも『ポリエステルフィルム』は世界トップの商品です。
合成繊維だけでなく合成樹脂事業も有しており、いわゆるエンジニアリングプラスチックと呼ばれる強固な樹脂は自動車用途に展開されています。
電子情報材料など高い利益率が望める製品群もこの機能化成品事業が担っています。
炭素繊維複合材料事業
東レは炭素繊維の世界最大手であり、『東レ=炭素繊維』のイメージをお持ちの方も多いかと思います。
炭素繊維とは、簡単に言えば、めちゃくちゃ軽くてめちゃくちゃ丈夫な素材です。鉄の10倍丈夫で重さが1/4といえばわかりやすいでしょう。
高価な素材であるため、軽さと耐久性が求められる特殊な用途、例えば旅客機などに使用されています。
トップシェアかつ独自技術が生かせる分野なので利益率が高いのが魅力ですが、いまいち業績が安定しないのは気になります。
環境・エンジニアリング事業
東レは水処理が得意な企業であり、当事業ではその技術を生かしたビジネスを展開しています。
逆浸透膜や海水淡水化システムなど持続型社会の構築に貢献できる技術は今後の伸びに注目です。
また、建材やエアフィルターなども取り扱っています。
ライフサイエンス事業
ライフサイエンス事業は医療事業、医療機器事業、バイオツール事業の3つから成り立つ東レの中では未だ小さなビジネスです。
コンタクトレンズなど一般的なものだけでなく遺伝子の検出感度を高める高感度DNAチップなどの特殊品までを取り扱っています。
高い利益率が期待できるので当事業が伸びると全社業績も成長していきそうです。
経営理念について
東レ株式会社HPより
わたしたちは新しい価値の創造を通じて社会に貢献します
Innovation by Chemistry
特徴のある経営理念ではありませんが、企業文化で提唱されている『開拓精神』という言葉は志望動機にも使えそうです。
売上高および営業利益の解析
色々な種類の利益(経常利益、純利益etc)がありますが、企業が本業で稼ぎだした利益は営業利益として表現されます。そして、営業利益の源泉となるのが売上高です。
売上高と営業利益を分析することで会社の成長性や安定性を評価しましょう。
連結売上高・営業利益の解析
東レ株式会社の過去10年の売上高と営業利益をグラフ化したものをご覧ください。
東レの平均勤続年数が15.9年(入社したら平均15年はお世話になる)であることを考慮すると、10年分の分析が決して多くはないことがわかると思います。詳細はこちらへ!
2012年から2019年の間では売上高が順調に伸びており、営業利益率も落ちていないことから順調に成長しているとわかります。
一方で、コロナの影響を受けた2020年と2021年は業績が落ちていることがわかります。
ただ、化学業界は市況を受けやすい業界であるため、その点を考慮すると落ち幅は十分に許容範囲で安定性も高いと感じます。
営業利益率は2019、2020年以外をみると7%程度と低くはないものの、十分な値とは言えません。
炭素繊維複合材料事業やライフサイエンスなどの高利益な事業を成長させることができればより見栄えのいい決算となりそうです。
セグメント別売上高の解析
セグメント別の売上高の成長に着目することで、企業がどの事業に力をいれようとしているのか、世の中が企業に何を求めているのかわかるのでこの分析手法はおすすめです。
売上高でも営業利益でも機能化成品と繊維の両事業が全社の業績を支えていることが伺えます。
他の事業が上位2事業と比べて小さいため、機能化成品と繊維の両事業が行き詰った際に企業としてどのように対処するのかは疑問が残ります。
また、東レの特徴である炭素繊維複合材料事業は利益率が高く、売上が徐々に成長している点が好印象です。
一転、コロナ禍では赤字に陥っていることから、まだビジネスとして成熟できていないと推測できます。
炭素繊維やライフサイエンスなどの高利益事業が成長できると面白い企業になりそうです。
- 2012年より売上・営業利益は順調に成長している
- コロナ禍では全社業績が落ち込んだ
- 炭素繊維の関連事業をどのように伸ばしていくかに注目したい
研究開発費の推移
上図では東レの研究開発費の推移を示しました。
業績面では機能化成品と繊維が二本柱でしたが、繊維事業にはあまり研究開発費を充てていません。
一方で、炭素繊維複合材料事業には利益の割に多くの開発費を充てており、企業として当該分野に期待していることが伺えます。
ライフサイエンス事業も研究開発費が少なく、今後も売上を拡大していく意図がないように思えます。
緑で示した本社研究では、水電解などの水素エネルギー関連事業の研究を行っているようです。
次世代インフラとして今後の世界では水素関連事業が必須になるため、多くの開発費を充てていることが見て取れます。
循環型社会構築への取り組み
サステナビリティやカーボンニュートラルといったテーマはおそらく今後20年以上にわたって化学業界で最優先とされる事象になります。
企業がしっかりとこれらのテーマと向き合っているかは確実に確認しましょう。
東レは環境に配慮した事業を展開する日本で有数の企業といえます。
例えば、原料の一部(30%)を非可食バイオマスから製造したポリエステルを東レでは製造しています。
他にもナイロンの再利用や水素製造などサステイナブルなビジネスを多数保有しているなどサステナ意識の高い会社です。
環境関連事業に携われるチャンスが多い企業と推測できる
注目すべきプレスリリース3選(2020/01/01~2021/07/17)
企業のだすプレスリリースは世間に対するポジティブなアピールです。つまり、企業として世間に褒めて欲しい、注目して欲しいところ。
プレスリリースをチェックして企業の動向を把握しましょう。
東レ株式会社の注目すべきプレスリリースは、
- 東レの逆浸透(RO)膜が中東地域における海水淡水化プラントで活躍 -バーレーン王国とアラブ首長国連邦で連続受注を獲得- (2020/11/16)
- 多孔質炭素繊維を用いた革新CO2分離膜を創出 (2021/04/15)
- グリーン水素へのエネルギー転換プロジェクト「H2-YES」における P2Gシステムの試運転開始について(2021/06/07)
1は淡水化技術のプレスリリースです。インフラが整備され水資源が豊富な日本では想像しにくいですが、水不足に悩まされる方々は世界中にいます。
発展途上国などにビジネス展開をしていければ、(利益はあまり見込めないかもしれませんが)東レブランドは確固たるものとなりそうです。
2と3は共にサステナビリティを意識したリリースです。水素製造と二酸化炭素回収は今後の化学業界のトレンドになります。
競合他社は?
ほかにも総合化学の旭化成が繊維事業を有しており、淡水化事業なども被っていますね。
東レの強み、弱みは?
就職・転職活動において企業の特徴、特に強みと弱みをつかむのは非常に重要です。記事の内容を踏まえて、強みと弱みをおさらいしてみましょう。
東レの強み
ポリエステルフィルムや炭素繊維など世界シェア1位の製品群は東レの強みのひとつです。
また、バイオマス原料の活用など環境保全型のビジネスを有していることも特徴です。東レはかなり昔からナイロンの再利用などを事業化しており、その技術の積み重ねが強みになると予想されます。
さらに、海外売上高は50%以上と高水準でありグローバル企業といえます。
世界シェア1位の製品群、カーボンニュートラルビジネス、グローバル企業
東レの弱み
コロナ禍で業績が落ち込んでしまったのは東レレベルの企業であれば弱みといえるでしょう。事業ポートフォリオを多様化したうま味が小さく思えます。
さらに、炭素繊維事業の変動率が高いことも気になります。事業として成熟すれば東レオリジナルの事業となるので今後に期待です。
不況耐性に疑問、炭素繊維事業のボラティリティが高い
管理人Jagaが志望動機を書くのであれば、、、
本項目はあくまでも参考例です。志望動機はご自身の言葉で書くようにしましょう。
私は貴社のサステナビリティの対する取り組みに研究者として魅力を感じました。私には研究を通して地球環境の保全に貢献するという夢があります。また、貴社はナイロン再利用や水素利用、バイオマスの原料化などすでに多数の独自技術を開発されています。グリーン技術に精通し、かつ、開拓精神に旺盛な貴社に入社した際には業務を通して地球環境の保全に貢献しつつ、かつ、化学の力で貴社の持続的な成長に貢献できる人材へと成長できると考えております。 (211字)
東レへの志望動機を書く上では以下のような言葉がキーワードになりそうです。
経営理念(わたしたちは新しい価値の創造を通じて社会に貢献します)、コーポレートスローガン(Innovation by Chemistry)、グローバル企業、サステナビリティへの取り組み、SDGs、素材には社会を変える力がある
これらのキーワードとあなたの思い、経験を組み合わせていけば魅力的な志望動機が書けるかと思います。
まとめ
以上にまとめましたが、東レ株式会社の魅力や注目すべき動向は伝わりましたでしょうか?
自社技術で環境に貢献する技術を展開するサステイナブルな企業といえます。
“環境保全”への意識が高い方には特におすすめの就職・転職先候補となりそうです。
さて、就職・転職活動で競合(ほかの就活生・転職希望者)に差をつけるには効率的、素早く企業の情報を収集することが重要になります!
今回、当記事で紹介した内容に加えて、就活サイトで情報を集め、インターンやOB・OG訪問を積極的に行いましょう。
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当記事が皆さんの就活・転職活動に有意義なものとなれば幸いです。
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