当サイトにおける東ソー株式会社の評価は21.5/25点。事業の安定性が非常に高く、安定性を重視する方には最適の就職先候補だと思います。
- 年収は国内平均440万円の1.7倍
- クロル・アルカリ事業が主力で利益率の高い優れた企業体質
- 売上高は伸びていないが利益率の伸びが凄まじい
- 平均勤続年数は業界平均よりも短いのはネガティブ
- 残業時間は他大手と比較しても少ない
当サイトでは決算データをもとに”客観的”に企業を評価しています。一方で、企業の内情や口コミといった主観的情報も就活では重要です。OB訪問アプリを活用して賢く就活を進めましょう!
年収などの基礎データ
まず基本となるデータを掲載します。平均年収が高く、残業時間も短いことから大手化学らしくワークライフバランスのとりやすい会社と言えますね。
ただ、他の総合化学大手と違い、業界平均よりも平均勤続年数が短いのは気になります。
企業名 | 東ソー |
代表者名 | 山本寿宣 |
単独従業員数 | 3683 |
連結従業員数 | 13631 |
上場区分 | 東証1部 |
本社 | 東京 |
拠点 | 周南(山口)、四日市、 綾瀬(神奈川)、大阪、etc |
平均年収 | 763.1万円 |
平均年齢 | 38.8歳 |
平均勤続年数 | 14.4年 |
有給休暇の平均取得日数 | 15.2日 |
月平均所定外労働時間 | 17.1時間 |
主業種/サブ業種 | 化学/総合化学 |
事業内容と主力製品について
東ソー株式会社の事業内容はクロル・アルカリ事業、石油化学事業、機能商品事業、エンジニアリング事業の4分野に大別されます。
クロル・アルカリ事業
クロル・アルカリ事業は化学品、ウレタン、セメントの3部門から成る事業で、売上高営業利益率(=営業利益/売上高×100)が15%を超えることもある超高利益体質の東ソーの要です。
一般的に、化学業界の売上高営業利益率は5%程度なので東ソーの強みを生かした事業分野と言えるでしょう。
『苛性ソーダ』や『塩ビ樹脂』は国内トップシェアの製品です。
石油化学事業
石油化学事業はオレフィンとポリマーの2部門から構成される事業です。
オレフィン部門では国内有数のナフサクラッカーを有しており、他の製品を支える原料供給源として機能しています。
ポリマー部門は『ポリエチレン』などの単純なオレフィンの重合物から、『クロロプレンゴム』や『特殊塩ビ』など塩素を付加した特殊品まで幅広く扱っています。
クロル・アルカリ事業もそうですが、東ソーの強みのひとつは塩素(=クロル)を有効活用する独自技術ですね。
機能商品事業
機能商品事業もクロル・アルカリ事業と並び立つ、いやそれ以上の高利益事業です。
まれにみる不況であった2019、2020年も売上高営業利益率は14.1%、12.2%と化学業界では異例な値を記録しています。
当事業は有機化成品、バイオサイエンス、高機能材料の3部門から構成されており、バイオサイエンスでは『液体クロマトグラフ用カラム』をはじめとする分析用消耗品を取り扱っています。
高機能材料部門では『ジルコニア』や『ゼオライト』を取り扱っています。
東ソーといえば『ゼオライト』のイメージがあるように、無機粉末に関する技術に非常に優れた企業といえます。
エンジニアリング事業
エンジニアリング事業の主力はオルガノ株式会社です。有機系の研究者であれば耳にしたことがある、化学業界では有名な企業ですね。
昨季(2020年)は水処理関係の事業が好調だったようです。
経営理念について
私たちの東ソーは、化学の革新を通して、幸せを実現し、社会に貢献する。
「共存挑戦する意欲、2. 冷たい状況認識、3. 熱い対応、4. 持続する意志、5. 協力と感謝
TOSOH SPIRITという概念が提唱されていますが、商社のようで化学業界では珍しい提唱の形に思えます。
志望動機に組み込みやすいので共感できる部分がないかチェックしておきましょう。
売上高および営業利益の分析
色々な種類の利益(経常利益、純利益etc)がありますが、企業が本業で稼ぎだした利益は営業利益として表現されます。そして、営業利益の源泉となるのが売上高です。
売上高と営業利益を分析することで会社の成長性や安定性を評価しましょう。
連結売上高・営業利益の分析
東ソー株式会社の過去10年の売上高と営業利益をグラフ化したものをご覧ください。
東ソーの平均勤続年数が14.4年(入社したら平均16年はお世話になる)であることを考慮すると、10年分の分析が決して多くはないことがわかると思います。詳細はこちらへ!
売上高はここ10年間でさほど伸びていませんが、10年前の2012年3月業績と比較すると2021年3月業績では営業利益が倍増しています。
その間、灰色ラインで示した営業利益率が右肩上がりに上昇していることがわかると思いますが、これは「選択と集中」を行い、戦略的に企業体質を高利益に改善していったことが功を奏したと言っていいでしょう。
好況時に利益が伸びるのは化学や素材業界ではよくあることですが、2019年と2020年の不況時にも利益率を10%以上にキープしているのは驚異的です。
前回の不況時の2009年には利益率がガクッと落ちていたことを考慮すると、この10年間で劇的な体質改善が行われたことがわかります。
売上高は伸びていませんが、これだけ利益が伸びていれば成長性に優れているといって過言ではないでしょう。
セグメント別売上高の解析
セグメント別の売上高の成長に着目することで、企業がどの事業に力をいれようとしているのか、世の中が企業に何を求めているのかわかるのでこの分析手法はおすすめです。
東ソーはクロル・アルカリ事業、石油化学事業、機能商品事業の3分野が売上高を支えていますが、営業利益のほとんどはクロル・アルカリ事業と機能商品事業が計上しています。
この2事業は事業説明のところでも言及したように、10%半ばの利益率を誇る非常に優れたビジネスです。
東ソーの強い企業体質はこれらの2事業およびそれを支える独自技術に依るところが大きいでしょう。
石油化学事業は利益率が低いのが課題ですが、社内他事業の製品原料を製造しているため利益がでにくいという性質もあります。石油化学事業=不採算で廃止すべきというわけではなく、所謂、縁の下の力持ちです。
この10年で東ソーは企業体質の高利益化に成功しました。
次の10年ではどのように利益率を維持したまま売上高を積み上げていくかに注目です。
- 不況時にも安定して高い利益を出し続ける優れた安定性
- 売上高の停滞を帳消しにする利益率の劇的な改善
- 今後10年間でどのように売上高を伸ばしていくか戦略に注目
研究開発費の推移
上図では東ソーの研究開発費の推移を示しました。
灰色で示した機能商品事業に研究開発費の半分以上を充てていますね。
すでに主力事業である機能商品ですが、今後の伸びにも期待できます。特に、機能商品の中でも電子関連材料、ライフサイエンス、エネルギー(電池材料)などに注力しているようです。
一方で、もうひとつの主力事業であるクロル・アルカリ事業には機能商品と比べて開発費を充てていないのが印象的です!。
主力事業≠今後伸びが期待できる事業ということがわかる良い事例です。
循環型社会構築への取り組み
サステナビリティやカーボンニュートラルといったテーマはおそらく今後20年以上にわたって化学業界で最優先とされる事象になります。
企業がしっかりとこれらのテーマと向き合っているかは確実に確認しましょう。
二酸化炭素利用などサステナ関連技術の開発に力をいれているようですが、現状、今までの事業をSDGsの型にはめているだけで真に環境調和な事業を展開しているとは言えないと思います。
バイオマス発電なども手掛けているようなので化学事業だけでなくエネルギー事業での環境貢献が期待できそうです。
注目すべきプレスリリース3選(2020/01/01~2021/06/27)
企業のだすプレスリリースは世間に対するポジティブなアピールです。つまり、企業として世間に褒めて欲しい、注目して欲しいところ。
プレスリリースをチェックして企業の動向を把握しましょう。
東ソー株式会社の注目すべきプレスリリースは、
- 「革新的 CO2 分離膜による省エネルギーCO2 分離回収技術の研究開発」がNEDO の先導研究委託事業として採択 (2021/01/28)
- 自家発電所バイオマス燃料使用に関する協定締結 (2020/11/30)
- 低濃度 CO2からの尿素誘導体合成法を開発 (2021/05/14)
1~3はすべてサステナ関連のプレスリリースです。
CO2分離は今後大きなビジネスになりそうなので、東ソーがどこまで技術を洗練していけるかに注目ですね。
3の二酸化炭素利用技術は未だ商業化には耐ええる技術ではないと思いますが、東ソーという企業が二酸化炭素利用に前向きであることはポジティブに捉えていいでしょう。
競合他社は?
東ソーの主力であるクロル・アルカリ事業では信越化学工業が競合です。
比較対象としては総合化学大手の三井化学、旭化成、住友化学、三菱ケミカルホールディングス、宇部興産、昭和電工あたりも比較対象として挙がるでしょう。
東ソーの強み、弱みは?
就職・転職活動において企業の特徴、特に強みと弱みをつかむのは非常に重要です。記事の内容を踏まえて、強みと弱みをおさらいしてみましょう。
東ソーの強み
東ソーの一番の強みは高い利益率を可能にするオリジナリティあふれる事業群です。特に、クロル・アルカリ事業と機能商品事業は自社技術を生かしたビジネス展開です。信越化学もそうですが、電解分野を有している企業は世界的にも力強いイメージがあります。
上記の事業により、いわゆる石油化学を中心におく他社より安定性が非常に高いのも魅力です。
医療分野に手を出すなど幅広いポートフォリオで安定性を獲得した他社と比べ、東ソーのポートフォリオは割と化学に集中していると思います。このように経営資源を集中させる意味でも、事業の独自性で安定さを獲得できているのは大きいです。
独自技術によるビジネス展開、安定した事業構造、経営戦略が明確
東ソーの弱み
1番の弱みは売上高の伸び率が低いことです。利益率が伸びているとはいえ、さらなる飛躍には売上高の伸びが必須です。
既存事業のブラッシュアップを終えた今後10年でどのように規模を拡大していくのかに注目です。
また、サステナ関連事業で目立った動きがないのは懸念点となります。
カーボンニュートラル関連事業は化学企業であれば必ず抑えるべきトレンドですが、東ソーには目立つ事業がないように思えます。
売上高の低成長率、サステナ関連ビジネスがとぼしい
管理人Jagaが志望動機を書くのであれば、、、
本項目はあくまでも参考例です。志望動機はご自身の言葉で書くようにしましょう。
私はグローバルにビジネスを展開する貴社で社会、世界に貢献するため貴社を志望しました。私には技術者として世界に挑戦するという夢があります。売上高のおよそ半分が海外である貴社に身を置くことで世界の潮流を冷静に認識し、常に挑戦を促す風土から刺激を受けることで、自身の夢を叶え、貴社の利益や社会に貢献できる人材へと成長できると考えております。(167字)
東ソーへの志望動機を書く上では以下のような言葉がキーワードになりそうです。
これらのキーワードとあなたの思い、経験を組み合わせていけば魅力的な志望動機が書けるかと思います。
まとめ
以上にまとめましたが、東ソー株式会社の魅力や注目すべき動向は伝わりましたでしょうか?
独自技術をいかした高利益な事業を展開している力強い企業ですね。
就職・転職先に安定性を求める方であれば理想の候補と言えそうです。
就職・転職活動で競合(ほかの就活生・転職希望者)に差をつけるには競合よりも効率的、素早く企業の情報を収集することが重要になります。
今回、当記事で紹介した内容に加えて、就活サイトで情報を集め、インターンやOB・OG訪問を積極的に行いましょう!
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当記事が皆さんの就活・転職活動に有意義なものとなれば幸いです。
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