当サイトにおける住友化学株式会社の評価は20.5/25点。非常に優秀な就職先候補だと思います。
- 年収は国内平均440万円の2.0倍
- 事業が多角化されているが石油化学事業の影響が大きい
- ここ10年の成長率はいまいちだが2021年度の業績には期待できる
- 平均勤続年数は業界平均と同水準
- 有給取得日数が多く、残業時間は少ない
当サイトでは決算データをもとに”客観的”に企業を評価しています。一方で、企業の内情や口コミといった主観的情報も就活では重要です。OB訪問アプリを活用して賢く就活を進めましょう!
年収などの基礎データ
まず基本となるデータを掲載します。平均年収の高さが目を引きますね。有給取得率も高く、ワークライフバランスのとりやすい会社と言えそうです。
企業名 | 住友化学 |
代表者名 | 岩田圭一 |
単独従業員数 | 6277 |
連結従業員数 | 34743 |
上場区分 | 東証1部 |
本社 | 東京 |
拠点 | 新居浜、袖ケ浦、つくば、 大分、宝塚、大阪、etc |
平均年収 | 855.7万 |
平均年齢 | 41.0歳 |
平均勤続年数 | 15.5年 |
有給休暇の平均取得日数 | 14.7日 |
月平均所定外労働時間 | 20.7時間 |
主業種/サブ業種 | 化学/総合化学 |
事業内容と主力製品について
化学業界の第二位の住友化学株式会社の事業内容は石油化学事業、医薬品事業、情報電子化学事業、健康・農薬関連事業、エネルギー・機能材料分野の5分野に大別されます。
石油化学事業
事業が多角化されているとはいえ、住友化学は石油化学事業の業績が全社業績に大きな影響を有しています。『プロピレンオキサイド』、『カプロラクタム』、『ポリプロピレン』が主力製品です。
中でも、カプロラクタムの気相合成法は副生物(ゴミ)を輩出しない環境調和な製造方法としてライセンス事業にも展開しているようです。
医療品事業
石油化学事業の次に大きな柱が医療品事業であり、その売上高は石油化学事業に迫る勢いで成長しています。
住友化学の医療品事業は大日本住友製薬株式会社と日本メジフィジックス株式会社が担っています。
前者はパーキンソン病治療薬『トレリーフ』、否定形抗精神病薬『ロナセン』を取り扱っており、後者は画像診断に使用するSPECT検査薬、悪性腫瘍などの早期診断に有用なPET 検査薬を取り扱っています。
情報電子化学事業
情報電子化学事業ではディスプレイやタッチパネルの部材・原料となる素材を取り扱っています。
一般的に高付加価値・高利益な商品といえるでしょう。
情報電子化学事業では『偏光フィルム』、『タッチセンサーパネル』、『化合物半導体材料』などが主力商品です。
健康・農薬事業
当事業では農薬や肥料、飼料添加剤などの農業・酪農関連商品と家庭用殺虫剤や医薬品原薬などを取り扱っています。
実は健康農薬事業は住友化学の祖業です。
エネルギー・機能材料事業
エネルギー事業ではリチウムイオン電池などの省エネルギー製品に使われる『アルミナ』、『アルミニウム』、『セパレータ』などを取り扱っています。
機能材料事業ではタイヤなど原料となる『レゾルシン』、高性能な『合成ゴム』、『スーパーエンジニアリングプラスチックス』などを製造しているようです。
経営理念について
住友化学は、
1. 技術を基盤とした新しい価値の創造に常に挑戦します。
2. 事業活動を通じて人類社会の発展に貢献します。
3. 活力にあふれた社会から信頼される企業風土を醸成します。
特にオリジナリティのある経営理念とは言えず、これだけでは企業の形が見えてきませんね。
ただ、2については祖業が健康関連事業であることを端的に表しているように思えます。
リクルート専用ページのメッセージが「Good Company for the Earth.」であることを考慮すると、環境に配慮した経営を意識していることが伺えます。
売上高および営業利益の解析
色々な種類の利益(経常利益、純利益etc)がありますが、企業が本業で稼ぎだした利益は営業利益として表現されます。そして、営業利益の源泉となるのが売上高です。
売上高と営業利益を分析することで会社の成長性や安定性を評価しましょう。
連結売上高・営業利益の解析
住友化学株式会社の過去10年の売上高と営業利益をグラフ化したものをご覧ください。
住友化学の平均勤続年数が15.5年(入社したら平均16年はお世話になる)であることを考慮すると、10年分の分析が決して多くはないことがわかると思います。詳細はこちらへ!
2022年の業績はあくまでも予想ですので、2012~2021に注目して観察すると、売上の伸びは芳しくないように思えます。
営業利益が安定しないことも石油化学事業の影響の大きさが伺えます。
ただ、コロナ禍の影響を受けた2020、2021年業績が黒字なのは稼ぐ力の強さが垣間見えます。
非常に強気な業績予想をだした2022年の業績がどうなるかが今後の成長速度を占う意味で気になりますね。
セグメント別売上高の解析
セグメント別の売上高の成長に着目することで、企業がどの事業に力をいれようとしているのか、世の中が企業に何を求めているのかわかるのでこの分析手法はおすすめです。
折れ線グラフから明らかに医薬品事業が伸びていることがわかりますね。
単純に伸びているだけでなく、不安定に上下する石油化学事業とは異なり、安定した成長を見せていることも高評価です。
情報電子化学事業も医薬品事業と同様に伸びていく分野と推測できます。
一方で健康農業関連事業も伸びているように見えますが、おそらく2021年がコロナ特需(感染症対策製品を取り扱っている)であっただけで、実際はさほど伸びず安定しているのではないかと私は感じました。
実際に2017年と2021年発表のセグメント別売上比率を比較すると、他の事業が伸びているため石油化学事業の影響が小さくなっていることが確認できます。
セグメント別利益を見てみると医薬品が利益の大半を占めていることがわかります。
石油化学事業が安定しない一方で、情報電子化学は堅調に成長していますね。
石油化学事業の市況による変動が大きく利益率も高くないため、利益率の高い医薬品や情報電子化学に力をいれことで高利益体質の企業を目指していることがわかりますね。
- 成長性はさほど感じないが稼ぐ力は確固たるものである
- 現状では石油化学事業の影響が大きいので利益や売上の変動幅が大きい
- 医薬品事業、情報電子化学事業が今後の伸びを牽引すると予想される
研究開発費の推移
住友化学の研究開発費はその半分以上が医薬品事業に充てられていることがわかります。
一方で、売上高が大きい石油化学や成長著しい情報電子化学にはあまり充てていないことが意外ですね。
住友化学が医薬品を育てていきたいことが伺えます。
また、研究開発費売上高比率が8%近くと非常に高いことが驚きです。
売上や利益にこの研究姿勢が反映されるのが楽しみですね。
循環型社会構築への取り組み
サステナビリティやカーボンニュートラルといったテーマはおそらく今後20年以上にわたって化学業界で最優先とされる事象になります。
企業がしっかりとこれらのテーマと向き合っているかは確実に確認しましょう。
住友化学は次の項目のプレスリリースや社長メッセージからもわかるように、地球環境に配慮することに対して高い感度を有する企業といえます。
プレスリリース紹介からは数の都合上外しましたが、サステナビリティを意図した化学技術を専門に開発する研究部隊を新設したとのプレスリリースも印象的でした。
注目すべきプレスリリース3選(2020/01/01~2021/06/13)
企業のだすプレスリリースは世間に対するポジティブなアピールです。つまり、企業として世間に褒めて欲しい、注目して欲しいところ。
プレスリリースをチェックして企業の動向を把握しましょう。
住友化学株式会社の注目すべきプレスリリースは、
- 当社役員が化学工学会賞で「女性賞」を受賞 (2021/03/08)
- 積水化学と住友化学、サーキュラーエコノミーの取り組みで協力~“ごみ”を原料にしてポリオレフィンを製造~ (2020/02/27)
- 島根大学と住友化学、二酸化炭素からメタノールを合成する共同研究を推進 ~持続可能な社会の構築に向けて、炭素循環の実現を目指す~(2020/09/10)
1の記事からは住友化学が女性社員の活躍に期待している会社ということが伺えます。
男性優位に感じる昔ながらの化学企業で女性が活躍できる土壌ができているのは素晴らしいことですね。
2と3は共にサステナビリティを意識したリリースです。
特に、2の技術(積水化学と米LanzaTechの技術)は非常に優れています。この技術にいち早く目を付けたのは非常に感度が高い企業だからと言えるでしょう。
競合他社は?
多くの事業を抱えるコングロマリットであるため、これといった競合相手はいませんが、総合化学大手の三菱ケミカル、三井化学、旭化成、東ソー、昭和電工あたりが比較対象でしょうか!
ナイロン6の原料となるカプロラクタムでは宇部興産が競合です。
住友化学の強み、弱みは?
就職・転職活動において企業の特徴、特に強みと弱みをつかむのは非常に重要です。記事の内容を踏まえて、強みと弱みをおさらいしてみましょう。
住友化学の強み
住友化学の一番の強みは伸びが著しい医薬品事業です。従来の石油化学などの事業と異なり、利益率が高く、全社業績を安定化させる働きをしています。他には、情報電子化学事業の成長性にも期待できます。
まとめると、多様なポートフォリオが住友化学の強みといえるでしょう。斜陽と捉えられがちな石油化学から成長率の高い事業への展開はさすがです。
また、住友化学の国内売上高は2021年で30%程度であり、海外での売上高比率が非常に高いことが特徴です。グローバルな事業を展開できているのは強みです。
ハイブリッドケミストリー、多様ポートフォリオ、グローバル企業、女性が活躍できる風土
住友化学の弱み
総合化学に共通する弱みですが、石油化学事業のボラティリティが全社業績に与える影響が多いのは住友化学の弱みです。多様な事業を展開する住友化学と言えども市況の影響を多分に受けます。
住友化学に特有の課題として、主力である医薬品事業の研究開発費が非常に重たいことが挙げられます。一回開発してしまえば終わりという構造ではなく、常に研究開発費がかかると推測されるので、今後もこの負荷は続くと考えられます。
サステナ事業についても、他社技術の活用だけでなく住友化学の特色がみえるような事業を展開していけると面白くなりそうです。
主力(化学)事業のボラティリティ、研究開発費が重い、サステナ事業のオリジナリティがない
管理人Jagaが志望動機を書くのであれば
本項目はあくまでも参考例です。志望動機はご自身の言葉で書くようにしましょう。
私は貴社のサステナビリティの対する取り組みに研究者として魅力を感じました。私は研究を通して地球環境の保全に貢献できる仕事をするという夢があります。住友の事業精神にあるように目先の利益を優先せず社会を利するという風土の貴社であれば、研究を通して地球環境の保全に貢献しつつ、かつ、貴社の成長に貢献できる人材へと成長できると考えております。 (168字)
貴社の女性が活躍できる土壌が醸成されている点に強く魅力を感じました。女性の社会進出、活躍が叫ばれる世の中になりましたが、化学業界のような製造業では未だ真に女性が活躍する土壌はできていないように思います。そのような状況下、貴社プレスリリースにあるように、女性がグローバルな活躍をしている貴社は稀有な存在であり、私も貴社の次世代を支える女性人材になりたいと考え、入社を希望いたします。(190文字)
住友化学への志望動機を書く上では以下のような言葉がキーワードになりそうです。
創女性の活躍、経営理念、住友の事業精神、サステナビリティ推進基本原則、グローバル企業、事業の多角化、コーポレートスローガン:豊かな明日を支える創造的ハイブリッドケミストリー、コーポレートバリュー:CPERII
これらのキーワードとあなたの思い、経験を組み合わせていけば魅力的な志望動機が書けるかと思います。
まとめ
以上にまとめましたが、住友化学株式会社の魅力や注目すべき動向は伝わりましたでしょうか?
祖業が環境問題や健康問題に係る事業の住友化学らしく、環境や人類への貢献ということを会社として意識しているように感じました!
“社会貢献”への意識が高い方には特におすすめの就職・転職先候補となりそうです!
さて、就職・転職活動で競合(ほかの就活生・転職希望者)に差をつけるには競合よりも効率的、素早く企業の情報を収集することが重要になります!
今回、当記事で紹介した内容に加えて就活サイトで情報を集め、インターンやOB・OG訪問を積極的に行いましょう!
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当記事が皆さんの就活・転職活動に有意義なものとなれば幸いです。
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