ご来訪ありがとうございます、『化学業界解剖計画』を運営する Jaga(@DrJagase)です!
今回は三菱ケミカルホールディングスの事業構造の紹介を行います!
『企業研究』ではなく『事業構造の紹介』としたのは、就職の募集単位が三菱ケミカルホールディングスではなく、その傘下の
- 三菱ケミカル株式会社
- 田辺三菱製薬株式会社
- 株式会社生命科学インスティテュート
- 日本酸素ホールディングス株式会社
に別れているからです!
純粋持株会社を他社と比較するのはミスリードになりかねないので、今回はレーティング等も行いません。
基礎データ
三菱ケミカルホールディングスは各事業会社(代表的なのが上記の4社)の純粋持ち株会社であり、三菱ケミカルホールディングス自体が事業を行っているわけではありません。
各社のマネージメント機能を三菱ケミカルホールディングスとして事業会社から分離しているようなイメージです!
まず基本となるデータを掲載します。平均年収や平均年齢が高く、勤続年数が長いのは上記のようにマネージメント部門(=各事業会社のお偉いさんが所属している)だからです。
このお偉いさんしか所属していない純粋持株会社の年収を見て『三菱ケミカルは高収入だ!』と判断するのは間違っているのでご注意ください!そのような質の低いサイトも多い気がします、、、
事業内容と事業構造について
化学業界最大手の三菱ケミカルホールディングスの事業内容は機能商品事業、ケミカルズ事業、産業ガス事業、ヘルスケア事業の4分野に大別されます!
各事業がどの事業会社に相当するのかというと、
上記の図(2021.3会社説明会より)が非常にわかりやすかったので上図に沿って説明します!
まず三菱ケミカル株式会社は機能商品事業とケミカルズ事業を担っています。
産業ガス事業は日本酸素ホールディングス、ヘルスケア事業は田辺三菱製薬と生命科学インスティテュートが主力の会社です。
各事業の詳細や主力製品の紹介は各事業会社の企業研究の記事で取り扱うこととさせていただきます!
売上高および営業利益の解析
連結売上高・営業利益の解析
三菱ケミカルホールディングスの過去10年の売上高と営業利益をグラフ化したものをご覧ください!
ここ10年間の売上の伸びは芳しくないように思えます。
営業利益が安定しないこともケミカルズ事業の影響の大きさが伺えます。事業の規模の割に安定性の乏しいのは少し気になりますね。
セグメント別売上高の解析
また、企業は伸ばしたい分野に人的資源(新人やキャリア採用者)を投入するはずなので、企業の伸ばしたい分野とあなたの希望分野が被っている場合はチャンスです!
折れ線グラフからどの事業も伸びているとは言い難いことがわかりますね。
市況に影響されやすいケミカルズ事業が全社業績に大きな影響を持っていることがわかります。
また、一般的に高利益が見込める機能商品事業がケミカルズ事業の売り上げを凌駕していますが、機能商品事業が伸びたわけではなくケミカルズ事業が縮小したことを考慮するとあまり好ましい傾向とは言えません!
事業が多角化されている利点として、ある事業の成績がへこんだ時に他の事業の売り上げが伸びてカバーできることが挙げられますが、ケミカルズ事業とヘルスケア事業が同じように売り上げが減衰しているのは厳しい状況を表しているように投資家からは見えてしまいます。
実際、住友化学や旭化成では石油化学関連事業(三菱ではケミカルズ事業)の売上がへこんだ際に健康農業関連事業やヘルスケア事業が伸びることで全社としての売り上げは下がっていません。
このようなカバー効果が多角化の魅力といえるでしょう。
- 成長性はさほど感じず営業利益の変動が大きいことも気になる
- 各事業が同じタイミングで売り上げを落とし、多角化の利点が発揮しきれていない印象を受ける
競合他社は?
多くの事業を抱えるコングロマリットであるため、これといった競合相手はいません(正しくは事業毎に競合が異なる)が、総合化学大手の三井化学、住友化学、宇部興産、東ソー、昭和電工、旭化成あたりが比較対象でしょうか!
まとめ
以上にまとめましたが、三菱ケミカルホールディングス動向は伝わりましたでしょうか?
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